カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル2012 Pt.2 by AK

盛り上がりを見せた今年のカンヌライオンズも先週末で幕を降ろしました。
今回も発表された部門の中からグランプリも含め、気になったものピックアップ。

まずは先週前半に発表された部門の中でご紹介したかったこちらから。
【プロモ&アクティベーション部門 ゴールド】
TNT 「PUSH TO ADD DRAMA」
<DUVAL GUILLAUME MODEM(アントワープ)>

アメリカのTVチャンネルTNTのベルギーでのローンチキャンペーン。
リモコンのボタンを押すとドラマが始まるように、通行人が街中に設置された
ボタンを押すと目の前でとんでもないドラマが繰り広げられる、というもの。
「We know drama.(TNTはドラマが何かを知っている)」をうまく伝えた体験型の
コミュニケーションですね。

【フィルムクラフト部門 グランプリ】
Canal+ 「The Bear」
<BETC (パリ)>

フランスのCanal+という有料映画TV局のCM。
熊の敷物がハリウッド映画のディレクターという設定は、まるでDVDの
特典映像を見ているよう。細かいところまでかなり作りこまれています。
「見れば見るほど映画が好きになる」というタグラインと共に、
映画が大好きな熊が、実はTVの前でいつも映画を見ている敷物だった、
というオチがおちゃめです。

【フィルムクラフト部門 ゴールド】
P&G 「BEST JOB」
<WIEDEN+KENNEDY(ポーランド)>

オリンピック開催に向け、選手を支えるお母さんの姿を描いたもの。
「お母さんは、世界で最も大変な仕事だけれど、世界で一番の仕事。」
という世界中のお母さんを応援するメッセージに、お母さんだけでなく
誰もがほっこりしてしまうのではないでしょうか。
このP&Gの「Thank you, Mom」キャンペーンは日本でも展開され、
CMではご存じ、なでしこジャパン澤穂希選手がお母さんと共演しています。

【フィルム部門 グランプリ】
CHIPOTLE(チポレ) 「Back to the start(初心に帰ろう)」
<CREATIVE ARTISTS AGENCY (ロサンゼルス)>

メキシカン料理チェーンCHIPOTLEのミュージックビデオ。
とある農場主が、産業型農場をやめて初心に帰る、というストーリー。
ジャンクフード、大量生産のイメージが強いアメリカのフードチェーンですが、
「持続可能なフードシステム」を掲げるブランドとして、
音楽と映像で効果的にそのメッセージを伝えています。
あのマクドナルドも農場形態を変えてしまうほどの影響力だったとか。

ちなみにこのミュージックビデオを含むCHIPOTLEの「カルティベイト・キャンペーン」は
「Cultivate a better world(より良い世界を作っていこう)」をテーマに展開され、
ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門のグランプリも受賞しています。

最後に、個人的にはイチオシ!のこちら。

【フィルム部門 ゴールド】
BGH 「DADS IN BRIEFS(ブリーフ姿のお父さんたち)」
<DEL CAMPO NAZCA SAATCHI & SAATCHI (ブエノス・アイリス)>

荘厳なオペラ音楽と映像が一体となって、見る人が思わず笑いながらも
うなずいてしまうアルゼンチンのエアコンのCM。
どこかで「そうそう!」という共感を呼んでしまうのが魅力なのでしょう。
「BGHのエアコンがあればこんな目にはあいませんよ」という世界共通の
分かりやすくもユニークなアイデア

さて、今年のカンヌライオンズも全て出揃いましたが、
チタニウム&インテグレーテッド部門でHONDAの
「CONNECTING LIFELINES」がゴールドを受賞するなど、
日本勢も各部門での受賞が多く、震災関連のものも多かったように思います。

皆さんはどのクリエイティブが印象的だったでしょうか?
来年のカンヌも楽しみですね。