アドフェスト2012 by AK&KK

先日、アジア太平洋広告祭「ADFEST(アドフェスト)2012」がタイ・パタヤで開催されました。
受賞作品の発表の結果、今年は部門全体で日本が躍進!金賞の数が前年の4倍!
また、サイバー部門では、金賞全9点中8点・銀賞14点中10点、銅賞は11点中8点と日本が独占状態でした!

では早速、受賞作品の中から、気になったものをいくつかご紹介します。

【フィルム部門 最高賞】 
質庫ぜに屋本店 <T&E(福岡)>

質屋というビジネスを、「不要になったものを売り払う場所」ではなく、
「愛して使ったものに新しい人生を与える場所」と捉えた作品。
お金のために愛したものを泣く泣く手放す、という利用者のやるせない気持ちをうまくつかんでいます。
次の人生が見つかる日まで、あなたとの絆ごと責任を持ってお預かりしますという姿勢をアピールすることで、
質屋の後ろめたいイメージを転換する、ユニークな視点の広告だと思いました。


【サイバー部門 最高賞】 
インテル 「The Museum of Me」 <Projector(東京)>

facebookアカウントからアクセスすると、自分のfacebook上の情報(友達のアイコンやアップロードした写真、
ウォール上で自分がよく使った言葉など)を組み立て直して、ミュージアム形式にして見せてくれるというもの。
こちらは実際に試された方も多いのではないでしょうか。
私もやってみましたが、感動の鳥肌モノでした。

その他の日本勢のサイバー部門受賞作品についてはコチラ

そして、まさに日本の美しさを魅せつけた作品、デザイン部門最高賞のDESIGN NORI。

【デザイン部門 最高賞】 
海野海藻店 「デザイン海苔」 <I&S BBDO>

海苔と言えば誰もが思い浮かべる「ただの黒い四角」のイメージ。
この海苔の形状、実は15世紀の昔からずっと変わっていないのだとか。
これに、現代のテクノロジーを使い、レーザーで細かな加工を施すことで、
日本の美しさを備えた、全く新しい高級商品として生まれ変わらせました。
いわゆる庶民的な食べ物、という印象だった従来の海苔巻きも、
この切り絵加工が施された海苔で作ると、お祝いごとやおもてなしにぴったりな華やかな料理になりますね。


【アウトドア部門 最高賞】 
"The Keyboard of Isolation"  Family Care For Grassroots Community <DDB China>

中国で問題視されている、ネット利用による家族のコミュニケーション不足を訴えた作品。
パソコンを使う人達のミニチュア人形を作製、ガラス瓶の中に入れて、ネット利用が生み出す孤立した世界を表現。
さらにその瓶を集めてパソコンのキーボードに見立てるというインスタレーションがなんともアイロニックで胸が痛みます。
自分も気づかないうちに瓶の中の住人の一員になってしまっているのではないかと、ハッとさせられる作品です。


【フィルムクラフト部門 金賞】
Tooheys Extra Dry "Nocturnal Migration" <ALT.VFX (Brisbane)>

Tooheys Extra Dry(ビール)のシカを使ったユニークなCM。
シカはTooheysのシンボルで、"Nocturnal migration"とは直訳すると「夜間移動」のこと。
Tooheysと一緒にナイトライフを楽しもうというメッセージが込められています。
本物のシカを使い5日間にわたり撮影されたこのCM。なんとこのシカたち、2ヶ月にわたり「演技訓練」を受けたんだとか。
シカの世界でありながらなんだか親近感のわくCMです。


【ダイレクト部門 金賞】 
Slurpee  "Bring Your Own Cup Day"  <Clemenger BBDO Proximity Melbourne>

オーストラリアのセブンイレブンが提供する、セルフフローズンドリンクSlurpee。
競合他社の類似商品追随を振り切るべく、"Bring Your Own Cup Day(自分のカップをもってこよう)"という企画を1日だけ開催。
これは、「入れ物」であれば何でもあり!好きなだけSlurpeeを注いで楽しんでくれ、というアイディアで、
Slurpeeファンたちは大盛り上がり、みんな思い思いの「入れ物」を持って来店します。
バケツやジョーロ、中には靴にまで入れる人も!
「自分はこれに入れてやったぜ」と、Facebook上でもかなりのバズを巻き起こしたようです。
想像力をかき立てられる、とにかく楽しい企画ですね。

【フィルム部門 金賞】 
サンシャインサカエ <ADK

こちらは日本からの作品。名古屋の栄にあるサンシャインサカエという総合商業施設のCM。
「何が起こってもいい気分でいられる買い物ができる場所」としてアピールしています。
最後まで見ないと何のCMかわかりませんが、なんともかけ離れたシーンからのオチにくだらない面白さがありますね。

様々なジャンルの受賞作品の中には、昨年のカンヌ受賞作品もありましたが、
どれもアイディアが面白いものばかりでした。
来年も日本勢に期待です!